婦人科豆知識

性感染症

性感染症とは

イラスト図

性行為によって、皮膚や粘膜を通して感染する病気の総称です。主な性感染症には右の表のようなものがありますが、これらは細菌、ウィルス、原虫、真菌(カビ)、シラミなど様々な病原体が原因になっておこります。

細菌によるもの

性器クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒は細菌感染によっておこります。中でも性器クラミジア感染症は女性の性感染症の中で最も頻度が高いものです。感染すると子宮頸管炎をおこし、おりものの増加や不正出血などの症状が現れることがありますが、自覚症状がほとんどないことも多く、気づかないうちに感染が広がり、不妊症の原因になってしまうこともあります。

ウィルスによるもの

性器ヘルペス感染症、尖圭コンジローマ、B,C型肝炎、HIV感染症/エイズはウィルス感染によるものです。性器ヘルペス感染症は外陰部にできた水疱が破れて潰瘍を形成し、強い痛みを伴います。重症では鼠径部のリンパ腺が腫れたり、排尿困難をきたすこともあります。通常、2週間程度で症状は軽快しますが、体力が低下した時に再発することがあります。尖圭コンジローマは外陰部や腟にイボができるもので、痛みはそれほど強くありません。いずれも、出産時に病変がある場合は、産道での新生児への感染を防ぐために、帝王切開による出産を考慮します。肝炎やエイズは外陰部の病変ではなく、血液検査で診断します。

その他

腟トリコモナス症はトリコモナスという原虫が、性器カンジダ症は真菌(カビ)が、ケジラミ症はシラミが原因で起こります。腟トリコモナス症や性器カンジダ症はおりものの増加や痒みが特徴ですが、ケジラミ症は陰毛部の痒みと出血が特徴的です。

注意したい症状

おりものの増加、不正出血、外陰部のかゆみ・痛み、外陰部のできもの、などに気づいたら婦人科を受診しましょう。清潔な性交渉やコンドームの使用を心かげることも重要です。

治療

細菌によるものでは病原体に応じて抗生剤を使用します。性器ヘルペス感染症では抗ウィルス薬の内服を、尖圭コンジローマでは外用薬の使用や外科的治療を行います。腟トリコモナス症では抗原虫薬の内服が一般的ですが、妊娠初期では腟坐薬を使用します。性器カンジダ症では腟坐薬と外用剤を使用します。性感染症ではパートナーの治療も重要です。